大切なことは目に見えないと

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5月のFOLIAGE20周年のパーティーをバークレーで開催したのに引き続き、お花の会をスタートさせた始まりの地、ロスを訪れて、在米組の生徒さんともお久しぶりにお目にかかり、感謝の気持ちをお届けしたいと思い立ち、先週ロスに出向きました。

数年ぶりという方も含め、お懐かしい生徒さんにお久しぶりに再会し、皆さんとこうして元気に場を共にできるしあわせを噛み締めた、本当に楽しくしあわせな時間でした。

*****

ひとりの生徒さんNさんから、思いも寄らず、素敵なカードとご本を頂きました。
カードには、「お花のクラスは、デートよりワクワクして最優先でした」「お花のクラスのバインダーは今でも宝ものです」「お花という小さな宇宙に魅せられ、自然の偉大さに美しさにひれ伏すような、謙虚な気持ちになれました」「これから先、20年、そしてその先も『緑の仲間』の輪がどんどん広がっていきますように」と、本当に身に余るような嬉しく胸が熱くなるようなお言葉を頂き、それだけでも宝物を頂いたような気持ちでしたが、カードには、小さなご本も一緒に同封されていました。

「星の王子さま」です。

昔々、まだ小さかった頃に、不思議で大人っぽい本だなあと思いながら読んだ記憶がありますが、内容はすっかり忘れており。
Nさんの「高校以来、時々読み返したくなる本です。大切なことは目に見えないということに気づかせてくれた本です」とメモが添えられてありました。

読み進めていくうちに、私は涙をこらえることができなくなりました。

「星の王子さま」は、自分の中に流れる真理や信念のようなものーーーそして、きっと多くの皆さんのお心の中にも同じく流れて共有している真理の琴線に触れ、思い出させてくれるうつくしい本でした。

自分がいつもお花やアロマの生徒さんについついお話してしまうことーーー「植物を通して目に見えない大事なものを共に感じ合う場を持ちたい」「買うだけでなく、育てたり、手で作るその過程にこそ、意味やしあわせがある」。
なぜそういったことを自分はシェアしたいのかーーーーその源泉を、「星の王子様」は追体験させてくれ、そして今あらためて確認させてくれました。

そしてそれと共に、今、こうしてこの本を差し出してくれたNさんを想うと、自分は本当に「先生」という芝居の役を頂いているだけで、本当は先生も生徒もない、皆が共にそれぞれの「役」や「立場」で、進化していくためのお仲間であるのだなあと再認識させられる想いがしました。
Nさんの中に今、これを私に差し出そうとしてくれた神様がいて、それに感動し、共鳴することで自分の中にもいるであろう神を、感じる。
人との交流によって感じる、心の奥の奥に感じるご縁や深さは、なんとも説明し難いものです。しかしながら確かなのは、相手の中、自分の中、そしてきっとすべての皆さんの中に存在する、「愛」のこと。

*****

この1月に若くして旅立たれたロスの生徒さんのことを特に言及は致しませんでしたが、今は星となられたMさんが、このロスでもsmall gathering を開催しようというきっかけとエネルギーを、すっかり腰が重くなった私に、下さいました。
そして、思いがけずもうおひとり、既に旅立たれたことを今年知らされたKさんーーー。澄み切って明るいお心がそのまま表されたお顔を思い出します。

人は人との出逢いで、生かされていますね。
幸いにも、この地上でお別れの時が来ることを普段は意識しないで暮らしていられる鈍感さの中で私たちは生活しています。
歳を重ねれば重ねるほど、再会してお目にかかれるということは、実はとても贅沢で有り難いことーーーそのことに気づかされます。
皆さんともっとたくさん笑ったり喜んだり、一緒に泣いたり。生きるさまざまな要素を、皆で共有し、味わっていきたいと、しみじみ思いました。

ここ地上で生かされている私たちも、星になった故人の方々も、皆がいっせいにうつくしい星図を描きながら関係して「存在している」奇跡に、今は感謝の気持ちしかありません。

私は、FOLIAGEなくして、自分の存在を確認することは、もはやできないと思っています。それほど、自分の分身のようでもあり、自分をフィルターにした(広大な宇宙の中の)小さな宇宙のようにも感じているのかもしれません。
そんな私の最大級のゲーム(楽しみごと)に、いつもご一緒に登場して下さり、時を共にして下さる生徒さんに、あらためて心から、感謝申し上げます。

そして今回、御時間を共にできなかったかつてのすべての生徒さんに、心からの有り難うを送らせて頂きます。



☞こんな素敵なレストランをMさんにご紹介頂き、集まりました。/ Sage Vegan Bistro





More/星の王子さま ことばたち
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# by marie-foliage | 2014-08-22 10:46 | お花の会 Botanica

旅はサンマルコ広場で始まり、終わる。

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皆様にも長らくお付き合い頂いたイタリアの旅の記録。

イタリア最後の訪問地、ヴェネツィア最終日。私たちはまた、初日に訪れたサンマルコ広場を訪れる。
老舗 cafe FLORIAN にて、旅の終わりの哀愁を感じながら頂く飲み物は、ほろ苦い。
この古い建物も、空気に漂う古い歴史も、文化も、すべてがここを離れれば、まるで見終わった映画のようにいつかは心から遠ざかっていく。
その刹那を、私もいつかは人生の醍醐味ーーーと微笑んで整理できる日が来るのだろうか。


古いものが残る地、ヨーロッパは、どうしてこんなに自分にとって魅力的に思えるのだろうとふと思った。
多分、私にとってヨーロッパの旅行は、過去へタイムスリップできる唯一のものなのかもしれない。

過去の人々が何を考え、何を大事に思い、どうやって人生を楽しみ、いのちを一生懸命繋いできたのか。
それを、昔からの空気感が今尚残るこの土地を訪れると容易に想像でき、体験できるような気持ちがする。
そして、この地球上には、現世の自分の知識や想像をはるかに超えた生き方や価値観や美しいものがたくさんあることをーーーその非日常的な可能性を、私は感じたいのかもしれない。


今回のイタリアの旅は、まるで「自分の過去」を辿るようなシーンをたくさん体験し。
それが束の間の幻のような体験であったとしても、きっとサンマルコ広場の幻想は、私に温かい微笑みを返してくれることだろう。



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More/ヴェネツィアの風景
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# by marie-foliage | 2014-08-19 15:05 | 旅(ヨーロッパ、アメリカ)

古い時間が残る紙の店


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フィレンツェで行き損ねた紙の専門店。
イタリアには、たくさんの紙のお店がある。カリグラフィーをしていた頃、ポートフォリオや自作の本の表紙用によく上質の美しい紙を見て回ったものだったが、イタリア製の紙が多かったのを記憶している。

よくイタリアの紙として見かけるマーブル紙は、昔、本の装丁に使用される皮革が高価であったために、代わりに大理石の模様をした紙を使用したのが始まりなのだとか。しかし、意外にもその源を辿ると、トルコやペルシャの方からその技術は来て、ヨーロッパでは17世紀あたりから本格的に使用されていったものらしい。

それはともかく、1276年にイタリアに製紙工場が建設されてから14世紀まで、ヨーロッパでの紙の供給地はイタリアになった。それほどイタリアの製紙技術は進んでいたそうだが、今もその面影とプライドは続行している。


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ヴェネツィアで偶然通りかかった紙の店。Legatoria Polliero。
こじんまりとした店内に入ると、お店の若いオーナーが愛想もふりまかずに黙々と仕事をしていた。職人気質を理解する私は、彼の仕事の邪魔をしないよう、店内をできるだけ静かに見て回るよう努める。

箱、ブランクノート、手帖、写真立て、ポートフォリオーーーなどなど、所狭しと製品が置かれた店内を見て回ると、昔からのものであろう、そのプリント模様の可愛さにため息が。
片言の英語でオーナーに話を聞くと、おそらく木版であろうそのプリントは、やはり手押しでなされているようであった。

店内はこの木版プリントの温かみ、味わい共に、まるで古い時代の時間の息吹を今も継続しているかのようで、時を刻む音が聞こえる気がした。
私は密かに、彼に、このまま職人気質の堅気で、このひっそりとした店内をこれからの時代も繋げていき、紙の文化を守っていってほしいと切に願うのだった。


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Legatoria Polliero

Fondamenta Campo del Frari,2995 Venezia
+39 041 528 5130




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# by marie-foliage | 2014-08-14 13:39 | 旅(ヨーロッパ、アメリカ)

ペストドクターの仮面と出逢う。

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なんとなく好きなもの、気になって仕方がないというものが、人生には点在していて。ある日突然それらの点にいっせいに線が引かれる日が、ある。

ヴェネツィアの街路を曲がってすぐ、家人が「ほら、あった。」と振り向いた。
娘も、「ほんとうだ〜。medico della peste と書いてある〜」。

そう、私が2年前からずっと気になっていた、ペストドクターの仮面。ついにここで、ご対面ーーーというわけだ。


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2年前、ロンドン最古の薬草園Chelsea Physic garden を訪れた時、園内のはずれに展示してあった一枚の絵。私はそこに駆けつけて、思わずその絵を写真におさめた。

これは一体何なんだ?!という強い興味と共に、無性に心惹かれる、そのちょっぴり不気味でありながらもユーモラスな姿。
家に帰ってから調べ、それは「ペストドクター」なるものであったことを知る。
探してみると、手持ちのメディシナル・ハーブの本にも、このペストドクターは記載されており、やはり今、この時こそが、自分の中に入るタイミングであったことを認識した次第。


思えば主宰しているアロマクラスでも、歴史の講義の際に、中世の疫病時代は特に身が入り、饒舌になってしまう自分。変な話だが、「ペスト」は私の中で不気味と言うよりも、強い興味の対象だった。

また古くからの生徒さんや友人の皆さんは既にご存知の通り、昔から、ハーブの花束、タッシーマッシーも好きで好きで、お花の会でも事在る毎にこのテーマを取り入れて生徒さんと楽しんで来た。
このタッシーマッシー、ビクトリア時代にこそ花言葉を重ねてのメッセージ・ポジーとしてロマンティックなものとなったが、元々は、疫病除けとして持ち歩かれていたものだ。

またクリスマスのポマンダーもまた、元々はフランスの公衆衛生が全く整っていなかった時代、そして疫病時代にも、殺菌やにおい消しとして用いられていたもの。

自分の中で特にごひいきなくらいに気になっていたこれらのものは、すべて疫病関連のものーーーーだったことに気づき、曇っていた空が晴れるような気持ちになった。

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中国方面からジェノバ経由で回って来たと言われるペスト、ヴェネツィアでも疫病蔓延に悩まされた時代があったというのは、想像に難くない。このこぢんまりとした街での疫病の広がりはきっと大変なものであっただろう。街の中ーーーサンマルコ広場の南西にあるサンタマリア・デッラ・サルーテ教会は、ペストの流行がおさまった時に、聖マリアに感謝する目的で1630年に建てられたものだという。(サルーテとは、「健康」という意味)


Wikipedia によると、ペストドクターは二流以下の医者や若い、身を立てようとしている医者がやらされたり、中には逃げ出す者もいたという、世知辛い実情があったようだ。

この摩訶不思議なコスチューム、ガウンの中にはハーブを入れ、「くちばし」にはミントやラヴェンダー、バラ、スパイス、カンファー(樟脳)、ビネガースポンジなどを詰めていたとか。当時は、におい(悪い空気)で病気が感染すると考えられていたため、くちばしのフィルターは大事な役目を担っていたのだろう。
手に持っている棒は、患者に直に触らず診察するためのもので、ポマンダーを使用していた場合もあるそう。


この運河の街ヴェネツィアで、不便きわまりない中、ゴンドラで観光の目玉としたり、水上タクシーや何やらで生計を立てる人々を見て、ニンゲンの知恵やたくましい「生き力」を見る思いがしたが、このペストドクターしかり。
ハーブやスパイスの力を頼りに、人々はいのちを繋ごうとしてきた。

ハーブはただロマンティックなだけではない、生死をかけたリアルな人間の歴史を、共に歩いて来た同志、友人でもあるのかもしれない。

ヴェネツィアの仮面の中、ひときわ私の心を捕らえたこのペストドクターのマスクが物語るもの。
今私たちがここにいるのは、今迄綿々と人々が綴って来た、長く深い歴史あればこそ。


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# by marie-foliage | 2014-08-11 14:06 | 旅(ヨーロッパ、アメリカ)

ヴェネツィア幻想。

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フィレンツェを発つ前の日。
「奇跡の45分」と名付けた、ひとりだけの時間を持った私が体験した、
神秘的な時間ーーー。
またいつか、ここにその体験を書く日が来るだろうか。


++++++++++


フィレンツェへの慕情に後ろ髪を引かれながら、イタリア最後の訪問地、ヴェネツィアへ向かう。こちらも過去2回訪れた地だが、今回はどんな印象を持つのだろう。


十数年ぶりに訪れたヴェネツィアは、同じイタリアと言っても、かつてベネツィア共和国ーーー独立国であった歴史が物語るように、まるで違う国に来たかのような独特の雰囲気を相変わらず失っていなかった。

路上に車が入れないので、移動は徒歩か水上交通のみ。

着いた日の夕方、まるで舞台セットのようなこじんまりとした街角を、過去の自分の影を重ねながらそぞろ歩き、サンマルコ広場に辿り着く。
夕方から、先ほどまでの青空が遠く彼方へ走り去り、あれよあれよという間に雲が空を覆い始めた。

まるで、モノクロ写真のような、サンマルコ広場。
石の文化は、モノクロのベースの上に、色が重なっていく。


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帰り途では、いきなり怒濤の雨が降り落ちて来て。
滝のような、あせーーーならぬ、雨。

観光客は店先や建物の軒下に走り込んで、皆で、この天からの不意の演出をしばし呆然と眺める。
不思議なもので、旅の記憶は、有名な名所や芸術より、こんなシーンの方が思い出にずっと残ることを私は知っている。
激しく石畳に打ち付ける雨は、まるで映画のワンシーンのようだ、と思った。


グレーに染まったサンマルコ広場。ヨーロッパは、古い建物がなせる技なのだろうか?いや、きっと昔の人々が残した空気感かもしれない。
ひとつひとつのシーンが、物語のようになってしまう、そんな土地なのだ。

ヴェネツィア幻想ーーー。
モノクロの夕方から、彩りの街への物語。

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# by marie-foliage | 2014-08-06 13:26 | 旅(ヨーロッパ、アメリカ)


美は、見る人の心の中に。


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