サンタ・マリア・ノヴェッラ(2)
こちらは、サンタマリアノヴェッラ(1)のつづき記事となります。
まずは店舗に入ってすぐにある販売ホール。
さて、今回サンタマリアノヴェッラの歴史などあらたに調べてみたところ、大変面白い事実を知ることに。
アロマの勉強をした方ならご存知であろう、「最古の香水」と呼ばれる、ケルンに移住したイタリア旅商人(理髪師、薬剤師とも呼ばれる)フェミニスの「オーアドミラブル eau admirable 」。(但し当時は、医薬品、食品、化粧品の区別が明確でなく、香水としての認識だけでなく、胃腸薬としても販売されたという。) 後に「ケルンの水」と呼ばれ、「オーデコロン Eau de cologne」(フランス語読み)となったこの最古の香水は、なんと、元々はサンタマリアノヴェッラのレシピであったのだとか。
フランスの香水史に大きな影響を与えた、フィレンツェからフランスはアンリ2世の元に嫁いできたカトリーヌ・メディシスは、婚礼の際にサンタマリアノヴェッラが特別に調合した香水「アックア・デラ・レジーナ Acqua della Regina 」を携え、フランス貴婦人の間で大流行させた。 この香水こそ「王妃の水」と呼ばれ、最古の香水と呼ばれるものだそうだ。
フェミニスは後に、旅の途中でこのサンタマリアノヴェッラ教会に立ち寄り、僧よりこのレシピを手に入れ、1725年ケルンに居を構えて生産を始めたのだとか。つまり元々は、「最古の香水」とは、フェミニスがオリジナルに発明したものではなく、サンタマリアノヴェッラのものであったと(言葉を変えれば、「王妃の水」は、フェミニスに多大な影響を与えたとも言える)ーーーサンタマリアノヴェッラの文献には残されているようだ。
そして何より興味深かったのが、メディチ家のこと。フィレンツェ文化を花開かせ、15世紀には、事実上フィレンツェを統治していたメディチ家自体が、薬や香料、香辛料などの商売で財を成した一族であるという事実。 こうして私たちが現在も、いにしえの人々の知恵と功績を享受できるのも、連綿と今日に引き継がれてきた歴史の流れのなせる技によるもの。 そして、歴史上の、どの一幕が抜けても成り立たないもの。 メディチ家が、香りの歴史に与えた影響と功績は、神による計画だったのかもしれないーーー。 そんな空想を巡らせるのも、歴史を味わう醍醐味となって。
☞ "Medici"は、後に"Medicine"の語源にもなっているという。
左)サンタマリアノヴェッラ広場のサイン。 右)ハーブハウスから、修道院の庭を。自由に入れないらしいので、窓越しに。
元々修道院内部の教会として使われていたというこのホールは、存在自体が既に美術館のよう。14世紀に建設されたが、その後1848年の大改修後も、天井のゴシック様式やフレスコ画はサンタマリアノヴェッラの栄光の象徴のように守り受け継がれている。
私がヨーロッパで最も好きな点は、「歴史ある美」と共に、人生が、暮らしがなされているところ。
この本店が「博物館」と呼ばれる所以はここに。
画像が今ひとつで残念だが、ハーブハウスに飾られていた古(いにしえ)の商品や容器、器具などのディスプレイの様子の一部を。
昔の修道士の努力と研究の功績が、こうして今に繋がっているという、歴史の重みを感じる。
こうやって残された中世の建物の中でいにしえの時代を想像するのは、イメージが湧きやすく親しみも持ちやすい。旅の醍醐味であり、特権だ。
by marie-foliage
| 2014-07-18 08:12
| イタリアの旅
|
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美は、見る人の心の中に。
by marie
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