人気ブログランキング | 話題のタグを見る

中屋薬舗 / 金沢



中屋薬舗 / 金沢_b0319247_09075376.jpg


数日前に日本に一時帰国し、今日から金沢に来ました。
30年以上ぶりの訪問となりましたが、自分の記憶の中にある金沢とは異なり、とても都会に見えます!
まずはメディカルハーブ、漢方などに携わっている人にはとても興味深いであろう、金沢市老舗記念館を訪れました。

パンフレットを参考にさせて頂くと、この老舗館は、藩政時代からの薬種商であった「中屋薬舗」の建物の外観を保存し、藩政時代の商家の面影を残す「店の間」などを復元すると共に、伝統的町民文化の展示をしています。

「中屋家」とは、天正7年(1579年)彦兵衛が薬種業を始め、藩政初期から店舗を構えた代表的な老舗で、特に五代藩主から御殿薬の処方を拝領し、以後代々町年寄り等を務めた格式の高い家柄なのだそうです。

イタリアのメディチ家も時代は異なりますが、その出自の一つに医師もしくは薬種商という推測もあり、その土地の実質的な君主のような存在になったという点で、中屋家と共通している何かを感じずにはいられません。
陽の東西を問わず、薬屋さんは、力を持つ所以があるのでしょうか。


まずは、昔の薬の展示が廊下に。パッケージや薬のネーミングなどなど、一つ一つ見るだけでも、とても興味深いです。


中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21450756.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21451057.jpg

こちらは「店の間」。
藩政時代の面影を残す中屋薬舗の「みせ間」を復元したもので、柱間の解放できる蔀(しとみ)もあります。


中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21432826.jpeg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21450459.jpg
昔ながらの店先には火鉢や煙草盆、店の中央には「けっかい」という間仕切り、中央奥には薬箪笥、道具類などがあり、「官許(政府の許可)」の円形の大きな看板は、屋根の上に掲げられていた物なのだとか。

中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21425795.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21424489.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21433655.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21434005.jpg

薬になる生薬素材の展示も。漢方に基づいていると思うのですが、殆どが植物由来のもののようでした。

中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21431585.jpg


「国登録 有形民族文化財」
金沢の売薬製造、販売用具。
加賀藩政期を通じて金沢を代表する薬種商であった、ここ中屋薬舗で用いられた道具類が展示されていました。
材料を砕いて丸める薬を造るなどする製造用の道具類は殊に興味深く、素材を薬にしていくために使われた過程を想像してしまいました。

中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21441716.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21434512.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21434977.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21435648.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_08593932.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21435932.jpg
各々の生薬素材の、効果を期待できる説明展示。
漢方に基づいているようですが、メディカルハーブでもほぼ同様の内容かと理解しました。

中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21440423.jpg

丸薬数え器。できれば中も見てみたいものです。

中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21442574.jpg


中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21443723.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21444354.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21444990.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21445315.jpg


この老舗記念館には他にも庭や茶室、おえの間(来客の上り口で、おもてなしをした吹き抜けのある広々とした空間。「御上」が訛って「おえ」となった)、客間の座敷など色々見所があります。

中屋薬舗 / 金沢_b0319247_08594490.jpg
中屋薬舗 / 金沢_b0319247_21450037.jpg

展示を見ていくうちに、加賀藩時代の暮らしや文化が目の前に再現され、想像が広がっていくかのようでした。
私たちの「現代」は、この「昔」がなければ、今に繋がらなかったことを、改めて感じます。








# by marie-foliage | 2023-11-05 22:52 | アジア、日本の旅 | Comments(0)

ローズマリーを見直す

ローズマリーを見直す_b0319247_08065324.jpg

皆さんもご存知のローズマリー。
抗酸化作用や認知予防(記憶、集中力強化)、抗菌、抗ウイルスなどで知られているハーブなので、私も自分の暮らしの中で気がついたら積極的に取り入れるようにしているハーブです。

先日もスパイスの抗ウイルス記事でご紹介しましたが、この秋、私が所属している日本メディカルハーブ協会の冊子にある理事の村上先生の記事を読んでいて、スパイスのみならず、ローズマリーの記載にも目が留まりました。
「メディカルハーブによる新型コロナウイルス抑制作用」がテーマで開催された、今年の学術フォーラムでの講演内容によるものでした。

ローズマリーに含まれる成分、ジテルペンのカルノシン酸が、特に新型コロナウイルスの後遺症において、抑制の効果が得られたと報告されたそうです。
このカルノシン酸は、脂溶性のローズマリーエキスに含まれ、コロナ後遺症の他にも加齢に伴う肥満や脳機能の低下などにも効果が認められたとのこと。
改めて、ローズマリーの力を確認させられました。

「脂溶性」ということは、ハーブティーより、ローズマリーオイルや精油、ティンクチャーの方が効果が期待できるということですね。
ちょうど在庫も切れていたので、先月ローズマリーのティンクチャーを仕込みました。12月のクリスマスイベントで、皆様にも少しお分けできると思います。



☞ ジテルペン類は、シソ科の植物に最も豊富に含まれているそうです。(「薬用ハーブの化学」より)

☞ ローズマリーの精油をお求めになる場合。ローズマリー精油は3種類あります。各々香りも効能も微妙に異なりますので、学名で調べ、確認されてみて下さい。
・ローズマリー カンファー:Rosmarinus officinalis ct.camphor
・ローズマリー シネオール:Rosmarinus officinalis ct.sineole
・ローズマリー ベルベノン:Rosmarinus officinalis ct.vervenone


☞ しばらく予約投稿記事が続きます。「Like」はその間お休みさせて頂きますので、宜しくご了承下さいませ。(いつもありがとうございます。)




# by marie-foliage | 2023-11-02 06:05 | ハーブ | Comments(0)

「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes

「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_06573427.jpg

アヴィニョンからさらに北西、ローヌ川を超えた先にある、ユゼス。
ここはプロヴァンスと思われていますが、行政区分ではプロヴァンスではないそうです。
過去2回、1994年と2010年にこのユゼスを訪れたことがあり、今回は3回目の訪問となりました。

一番最初に訪れた理由は、ハーブの草分け広田靚子さんの「南仏プロヴァンスのハーブたち」という御本で、昔からこの城壁の中の広場にハーブ市が定期的に立っていて、アーケードに「ハーブ広場」という標識が残っているというのを読み、是非見てみたいという思いからでした。

1994年に初めて訪れたマルシェは、オリーブなどでできた乳鉢、すりこぎから始まって、ハーブをまぶした可愛いチーズ、ハーブやオリーブ、ガーリックを浸したオイル、ドライハーブやスパイスなどが陳列されていて、とにかく鮮烈な印象が残っていました。
2010年の訪問時も、美しいラヴェンダーやオイル類、カラフルなバスケットなどが目に焼き付き、とにかく活気があって楽しい市だったことを覚えています。
今回はコロナの後の影響もあるのか、今までで一番静かな、品数も少なめの印象でした。

けれども、なぜか何度もこの場所を訪れてしまいたくなる、もしかしたら自分に縁のある場所なのかもしれません。



「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07120073.jpg

町の中心に位置し、古いアーチが連なるアーケードに囲まれた、趣き溢れる「オー・ゼルブ(La place aux Herbes d'Uzes) 広場」。中央にはシンボル的に噴水が。

「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07123401.jpg「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07170955.jpeg


















様々なスパイス、ドライハーブ、エッセンシャルオイルも。

「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07114477.jpg
「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07113765.jpg
「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07124478.jpg

シロップやハーブティー、南仏ハーブミックス”エルブ・ド・プロヴァンス”入りお塩などもあります。

「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07191334.jpg
「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07114956.jpg
「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07230868.jpg


フレッシュのハーブ苗も売られて。

「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07130314.jpg
「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07122079.jpg

「ハーブ広場」の標識は、今は壁にサインが記されていて、「ハーブ」というサインを眺めるだけで、なんとも言えない熱い気持ちが溢れて来ます。
日本人の私など、まだ西洋ハーブとは30年ほどのお付き合いですが、この土地には昔からずっと、ハーブという薬草と人々が紡いできた歴史があるーーーと思うと、その長い時間に圧倒されるのです。
気候を含め、この空気感、日の光、人々の習慣、考え方、暮らしの営み方ーーー全てが合わさって、ハーブの文化は成っています。

今の人生で、自分の残りの時間でハーブについてどれだけのことを知り、吸収できるのか分かりませんが、こういった西洋ハーブとのお付き合いが当たり前で、細胞に長く深く刻まれた人々の暮らしを垣間見させて頂くことは、何よりの経験になる気がします。


「ハーブ広場」のサインがある町 Uzes_b0319247_07314194.jpg
マルシェは、毎週土曜の午前中に開催されています。
ユゼス周辺は、トリュフの産地らしく11月〜2月の収穫期には広場でトリュフ市も開かれるそう。



☞ しばらく予約投稿記事となります。「like」はしばらくお休みさせて頂きますので、宜しくご了承下さいませ。(いつもありがとうございます)



2010年の旅のお写真もMore↓に一部載せておきました。この年のユゼス市は、カラフルなお写真が満載です。



More / 2010年のユゼスmarché
# by marie-foliage | 2023-10-29 06:50 | フランスの旅 | Comments(0)

「世界薬用植物図鑑」キューガーデン版

「世界薬用植物図鑑」キューガーデン版_b0319247_07210665.jpg

この春、日本の「植物の本屋 草舟 あんとす号さん」で購入させて頂いた、「イギリス王立植物園 キューガーデン版 世界薬用植物図鑑」。
ずっと長いこと英語版を買おうか迷っていた本でしたが、やはり日本語で読めるのが本当にありがたいです。

一つ一つの薬草の説明は要約的にまとめられていますが、美しい植物画を眺めながら要点を復習+新しい発見をして読み進められるので、時々ページを開いては楽しんでいます。
まだまだ余り理解を深めていないハーブも掲載されているので、なかなか興味深いです。
ページもうっすらクリームがかった紙質で、植物画も映え、ページをめくっていても実に満足。

「世界薬用植物図鑑」キューガーデン版_b0319247_07212211.jpg
ティンクチャーやハーブティー、オイル、クリーム剤などのレシピも掲載されていて、それもとても良いです。
ラヴェンダーのハーブピローのような、暮らしの中で手軽に使えるクラフト的なものの作り方も載っていますよ。

「世界薬用植物図鑑」キューガーデン版_b0319247_07213270.jpg

「世界薬用植物図鑑」キューガーデン版_b0319247_07211144.jpg

今ちょうど庭から収穫しようとしていたローズヒップの、シロップの作り方も載っています。

実用書的要素に、芸術性のエッセンスが取り混ぜられたような本は、本当に見ていて心地良いです。
読書の秋にぴったりの一冊です。

「世界薬用植物図鑑」キューガーデン版_b0319247_08161583.jpg「世界薬用植物図鑑」キューガーデン版_b0319247_08161257.jpg




















・・・・・・・・・・・・・・・

次回投稿からしばらく、予約投稿記事となります。
しばらく「like」をお休みさせて頂きますので、宜しくお願い致します。(いつも「like」をありがとうございます。)
11月初めには、クリスマスのワークショップのご案内なども告知致しますので、どうぞお見逃しなく。





# by marie-foliage | 2023-10-27 07:39 | 愛用品、愛読書 | Comments(0)

抗ウイルスに効果が期待できるスパイス

抗ウイルスに効果が期待できるスパイス_b0319247_09173038.jpeg

この秋、私が所属している日本メディカルハーブ協会の冊子にある理事の村上先生の記事を読んでいて、興味深かった内容をご紹介致します。

その記事は「メディカルハーブによる新型コロナウイルス抑制作用」がテーマで開催された、今年の学術フォーラムでの講演内容によるものでした。
抗ウイルス作用を持つことが報告されているメディカルハーブの、新型コロナウイルスへの作用に対する効果の研究で、感染抑制効果についてオイゲノールという成分が顕著であったというものでした。

このオイゲノールはクローブやシナモン、ナツメグなどのスパイスにも多く含まれていて、医薬品だけでなく、食品などへの応用も期待できるとのこと。(f o l i a g e のNoëlティーもバッチリ入っています👍)

摂取するのも勿論いいと思いますが、私が特に秋口から冬にかけて穏やかなルームディフューザーとしてよく行っているのが、スパイス類などをお鍋やティーポットに入れて火にかけるスパイス・ディフューザー。
これも雰囲気がほっこりと良いだけでなく、風邪やインフルエンザの季節に当たり、気道からの効果も期待できるわけです。

12月にはクローブを使った「ポマンダー」のワークショップも行いますが、こちらもクローブの持つ抗ウイルス作用を知りながら作成すると、雰囲気を楽しむだけでなく、一段と有り難みが増しそうですね!
(ワークショップの告知は11月頭頃になります)

ちょうど感染症が流行りそうな冬の時期に、昔からこのようなスパイスものを摂取したりクラフトに取り入れられたりしているのは、偶然と言えども、理にかなっていたということで、化学も発達していなかった時代に、不思議な気持ちが致します。



☞「 ⚪︎⚪︎に効果が期待できる」という理由での量や頻度の過剰摂取は、お避け下さい。有機化学成分の中には注意が必要なものもありますし、摂取量はもちろんのこと、摂取頻度にも十分にお気をつけて取り入れられて下さい。







抗ウイルスに効果が期待できるスパイス_b0319247_09381553.jpeg

抗ウイルスに効果が期待できるスパイス_b0319247_09430110.jpeg
シナモン

抗ウイルスに効果が期待できるスパイス_b0319247_09425872.jpeg
クローブを使ったポマンダー




# by marie-foliage | 2023-10-24 08:46 | ハーブ | Comments(0)


美は、見る人の心の中に。


by marie

リンク

最新の記事

「希望」の木の花
at 2024-03-25 07:28
ネクストプラネットさんインタ..
at 2024-03-21 15:43
再度 / 春のお知らせ
at 2024-03-17 11:39
アロマ・マスクスプレー
at 2024-03-11 07:34
Pomander ネックレス
at 2024-03-09 08:28
M.ハーブ / オンラインクラス
at 2024-03-03 10:27

カテゴリ

アロマクラスご案内
香りのセッションご案内
ハーブクラスご案内
お花の会ご案内
特別クラス
.
アロマクラス Essence
ハーブクラスHerboristerie
香りセッション B.Essence
お花の会 Botanica
Heirloom Series W.S.
プロダクツ Heirloom

花、植物
ハーブ Materia Medica
ハーブ
ハーブ(クラフト、レシピ)
アロマ
アロマ(クラフト、レシピ)
フラワーレメディー

ハーブ Special issue
アロマ Special issue
F.レメディーSpecial issue

ガーデニング、ガーデン
料理
暮らし
手仕事
症状別ハーブ、アロマケア
ヘルスケア
Ecology
愛用品、愛読書
Berkeley,S.F.(お店含む)
音楽、芸術
心への言葉
神秘
社会

フランスの旅
イタリアの旅
オランダの旅
北欧の旅
アメリカの旅
日本、アジアの旅

お知らせ
ごあいさつ
Works
その他

以前の記事

2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
more...

記事ランキング

タグ